大学に入って最初に学ぶ数学といえば、線形代数と微分積分でしょう.
高校の直観的な計算技術重視のアプローチとは違い,定義と論証を重ねて厳密に理論を積み上げていくスタイルに変わる一方で,さらに高度な計算ができるようになることを求められ,戸惑うことも多いでしょう.
最近はAIや統計学を学ぶ人が増えましたが,微分積分が縦横に使われているため,微分積分を学び直したいという人が増えています.
ここではインターネットに無料で公開されている微分積分学の動画・教材・演習問題集をまとめました.多くは大学の講義用の資料ですが,市販の書籍に遜色ないものがたくさんあります.
ぜひ,あなたに合う教材を探してください!
初級編
高校の学習との橋渡しを重視しながら,行列やベクトルの計算方法を丁寧に解説した教材です.
YouTubeで有名なヨビノリたくみさんの微分積分編.主要なトピックをかいつまんで取り上げる方式となっています.教科書のように順番に積み上げる方式ではないのでご注意ください.
「Past Courses 3 :微分積分・線形代数(学部1年生対象)」の「微分積分I」「微分積分II」です.随所にグラフをつけて,微分積分のコンセプトを視覚的に捉えられるようになっています.
物理学の解説サイトとして有名です.計算手法の解説が中心です.
微分方程式の解法が非常に詳しく説明されています.
中級編
高度な概念も噛み砕いて懇切丁寧に説明してあり,その気になってしっかり読めばかなりのことが理解できます.
物理学科向けの微分積分の講義ノートです.
「自信を持って議論を組み立てられる人を養成する」という目標を掲げ,基本から丁寧に説明されています.非常に分かりやすいです.
「この科目の講義方針」というドキュメントもあります.こちらもいろいろな意味で一読をおすすめします.
物理学全般を解説する有名なサイトです.物理学への応用で重要なルジャンドル変換や変分について丁寧に解説されています.
上級編
豊富な演習問題で,問題が解けたという充実感を味わうことができます.
講義の自習用資料を書き溜め,数学科向けに内容を追加してできたものとのことです.
A4で500ページ超という大変な分量ですが,これは,
- 微分積分学全体をカバーし,厳密に解説していること
 - 本文やすべての例題の解答に対して,飛躍がないよう丁寧に説明していること
 
によるものでしょう.前書きにある通り,取捨選択しながら読むとよいでしょう.
冒頭の前書きや,ε-δ論法に対する所感も興味深く,参考文献の充実ぶりには目を見張るものがあります.
同じページに線形代数の講義資料もあります.こちらもA4で400ページ超という大分量の資料です.
演習問題編
豊富な演習問題で,問題を解く喜びを味わうことができます.
「Past Courses 4 :演習・その他」の数学演習I~VIに,微分積分の問題が散在しています.
カラフルさが斬新.問題量が多く,骨のある問題もありますが,説明が親切です.
ミニテストも掲載されていますが,まさかギリシャ文字の書き取りが出題されるなんて学生は思っていなかったでしょう.
微分積分学のほぼ全範囲をカバーする,多数の例題と演習問題が載っています.巻末に全問の解答が載っています.
出版できる水準の内容だと思いますが,大学の経費を使ってまとめたという背景もあり,現在も無料公開を続けているものと思われます.
同じページに,線形代数学の演習問題集もあります.
 



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