第10章「積分の性質」では,1変数の積分の世界全体を眺める章になっています.
第10章のキーワード
まず定積分が不定積分の差で計算できることを復習します.
「積分の線形性」をベースに,関数が負の値をとる場合や,曲線で囲まれた面積など,さまざまなケースについて面積の計算方法を詰めていきます.
次いで,積分に関係するさまざまな「不等式」を示します.後続の章でも参照する重要な結果です.今は当たり前のことを言っていると思える定理でも,いざ後で使うとなるとすぐ思い出せない,ということがありがちです.
最後に「広義積分」を論じます.また,関数の比較によって「広義積分の収束判定」ができることを示します.この収束判定は,第15章§4(積分による級数の収束判定)の基礎になっています.