第1章は,解析「入門」らしく,中学校~高校の教科書に出てくる基礎的な概念や計算を簡単に復習するコーナーになっている.
§1 整数,有理数および実数
§1には練習問題はない.
整数,有理数,実数と言った数のクラスや,正負,逆数,偶数・奇数について一通りの説明がある.最後は,が有理数でないことの有名な証明をする.
§2 不等式
実数の大小関係についての基本的な性質(推移律や実数倍)を証明し,絶対値や平方根を定義する.それを基礎に,簡単な不等式の解き方を説明している.
練習問題の解答
練習問題には,不等式を解く問題が多数あり,ここで十分慣れることができる.問題22以降は,三角不等式を応用する証明と,有名な相加平均・相乗平均の不等式の証明である.どちらも,後続の章で頻繁に使う.
主な定理と公式
実数があるとき,以下の不等式が成り立つ.
実数(ただし)があるとき,以下の不等式が成り立つ.(左辺を相加平均・右辺を相乗平均という)
§3 関数
関数とは何かを説明している.サラッと読み流せば簡単なこと書いてあるわー,で終わる.
関数の例で,が有理数なら,無理数ならという例が出てきたが,これはディリクレ関数という有名関数の,0と1を逆さまにしたもの.易しく書いてあっても,こんな例がさらっと顔をのぞかせている.
練習問題の解答
練習問題の多くは暗算で解ける.関数を定義できる範囲を求める問題も,平方根を計算できない範囲をチェックするだけなので易しい.
絶対値を含む関数の値を求める問題は,場合分けの説明も兼ねて,最初に絶対値を外して整理してから計算する方針で解答してみた.答えを出すだけなら暗算で終わるだろう.
さて,問題11以降が偶関数と奇関数の問題になる.11→12→13と,前の問題がヒントになっている.問題13で証明する,「任意の関数を偶関数と奇関数の和に分解できる」という事実は有名だが,初めて見ると「へー」と思うのではないだろうか.
偶関数と奇関数は,積分の計算を簡単にする術としても重要である.(第10章§2・第11章補充問題(いろいろな問題)).
主な定理と公式
- 任意のに対してが成り立つ関数を偶関数という.
- 任意のに対してが成り立つ関数を奇関数という.
§4 べき
学校では「累乗」という事が多いが,この本では一貫して「べき」と言っている.漢字では「冪」「巾」を当て,べき乗と言うこともある.
ここでは,n乗とn乗根を組み合わせた指数法則を取り扱い,より一般的な指数関数の定義は第8章まで待つ.
練習問題の解答
練習問題は,問題11以外は暗算で解けるレベルである.さすがに問題11の解答は省略.
主な定理と公式
を実数,を整数,を有理数とする.
- を回かけた数をとする
- が一般の有理数の場合のべきを,以下の通り定義する
- 指数法則


