§3では積分に関する不等式をいくつか取り上げる.多少理論的な色彩が濃くなる.
関数の大小関係は積分しても大小関係が保たれるとか,絶対値、関数の上界で積分を押さえるといった,定理を上から読めば当たり前のように思えることなのだが,いざ練習問題で活用するとなったら,意外に難しいことがわかる.
練習問題の解答
問題数は少ないが,抽象度の高い計算が求められる問題がほとんどで,この本の中ではけっこう難易度が高い.
問題1~3は,関数の内積や,pノルムの性質の証明で,関数解析に片手を突っ込んだような問題になっている.問題1は本文の定理そのものみたいな話なのでまあ解けるだろう.問題2~3は,ヒントがあっても,ヒント通りに計算を実行しようとすると,ノルムの2重棒がチラチラして見づらいわ,どれが関数($f,g$)でどれが定数($||f||_p, ||g||_q$)かがわからなくなって迷子になるわでなかなかややこしい.が,仮定や定理を駆使し,色々な因子が消えたりして最後にきれいに結論が出ると,多少は「おー」という感覚が味わえるかもしれない.
問題4・6で,この本を順番に読んできたとすれば,デジャブを感じるだろう.左辺と右辺は第9章§5の上方和・下方和になっている.なお,これと同じ理屈を級数の収束判定に適用することを,第15章§4でやる.
問題5は,問題4・6を数列の和の極限への応用に応用していく.



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