第8章は指数関数・対数関数となる.
$e$(自然対数の底)の存在や,爆発的な増加の代名詞として日常で使われる指数関数の大きさの見積もりは,初等関数の微分のハイライトかもしれない.
まず,「前口上」として,指数関数の微分係数を都合よく計算できるような底$e$の存在や,それを認めることにより,指数・対数の微分公式,重要な極限が導き出されることを直観的につかむことを試みる.
そこから,前口上は脇におき,§1でまず対数関数を定義する.
$y=\frac 1x$のと$x$軸との間の面積としてlogを定義する手法を取っている.
一応括弧書きで,「次の章でわれわれは,これをどうすれば避けることができるかを示し,純粋に解析的な定義を与えるであろう.」とある.ちなみに、「次の章」は積分法である.
次いでlogの性質(底の変換を除く)や微分を次々導き、logが登場するグラフを描いていくところまで一気に説明される.
底の影も形もなく、$e$の存在さえ感じることなく,対数関数のだいたいの性質が明らかになる.
問題の解答
対数関数の微分・接線の方程式・グラフといった,微分の基本的な問題が多い.
グラフについては,解答の中でも注記したが,大半は対数関数の対称性や平行移動で描けてしまう.
途中,面積の吟味を発展させて,調和級数と対数の差の極限(オイラー定数)に迫っていく.しかし,オイラーの定数の証明は解答省略(笑)
そして最後に,対数関数の凸性を使い,一般の相加相乗の不等式を証明する.
指数・対数の理論がこういったところに応用できることは興味深い.
 



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